
ビタミンDが多い食品を知ろう#
ビタミンDは骨の健康、免疫機能の維持、筋肉の機能に欠かせない脂溶性ビタミンです。日本人の多くがビタミンD不足の状態にあると報告されていますが、実は日本の食文化にはビタミンDを豊富に含む食材が数多く存在します。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人のビタミンD目安量を8.5μg(340 IU)/日と定めています。この数値は日光による皮膚での産生を含めたものであるため、食事からの摂取だけでなく、適度な日光浴も合わせて考える必要があります。
この記事では、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」のデータに基づき、ビタミンDを多く含む食品をランキング形式でご紹介します。日々の食事でビタミンDを効率的に摂取するための実践的なヒントもお伝えします。
ビタミンDの単位について#
食品中のビタミンD含有量は、μg(マイクログラム)またはIU(国際単位)で表示されます。
換算式:1μg = 40 IU
本記事では、日本の食品成分表に準拠してμg表記を基本とし、必要に応じてIU換算も併記します。IUとμgの詳しい換算については、IU・mcg・mg換算ガイドをご参照ください。
ビタミンDが多い食品ランキング【総合TOP20】#
以下は、日本食品標準成分表(八訂)に基づく、100gあたりのビタミンD含有量ランキングです。
| 順位 | 食品名 | ビタミンD(μg/100g) | ビタミンD(IU/100g) | 分類 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | あんこうの肝 | 110.0 | 4,400 | 魚介類 |
| 2 | きくらげ(乾) | 85.4 | 3,416 | きのこ類 |
| 3 | しらす干し(半乾燥) | 61.0 | 2,440 | 魚介類 |
| 4 | いわし(みりん干し) | 53.0 | 2,120 | 魚介類 |
| 5 | いわし(丸干し) | 50.0 | 2,000 | 魚介類 |
| 6 | 身欠きにしん | 50.0 | 2,000 | 魚介類 |
| 7 | すじこ | 47.0 | 1,880 | 魚介類 |
| 8 | しらす干し(微乾燥) | 46.0 | 1,840 | 魚介類 |
| 9 | いくら | 44.0 | 1,760 | 魚介類 |
| 10 | かわはぎ | 43.0 | 1,720 | 魚介類 |
| 11 | 紅鮭(焼き) | 38.4 | 1,536 | 魚介類 |
| 12 | 紅鮭(生) | 33.0 | 1,320 | 魚介類 |
| 13 | うなぎ(蒲焼き) | 19.0 | 760 | 魚介類 |
| 14 | 干し椎茸(乾) | 16.8 | 672 | きのこ類 |
| 15 | さんま(生) | 16.0 | 640 | 魚介類 |
| 16 | さば(水煮缶) | 11.0 | 440 | 魚介類 |
| 17 | ぶり(生) | 8.0 | 320 | 魚介類 |
| 18 | 卵黄(生) | 5.9 | 236 | 卵類 |
| 19 | まいたけ(生) | 4.9 | 196 | きのこ類 |
| 20 | エリンギ(生) | 1.2 | 48 | きのこ類 |
注: きくらげ(乾)は含有量が非常に多いですが、乾燥重量100gあたりの数値であるため、実際に摂取する量(戻した状態では5〜10g程度)を考慮する必要があります。
カテゴリー別ランキング#
魚介類のビタミンDランキング#
魚介類は日本の食卓においてビタミンDの最も重要な供給源です。日本人のビタミンD摂取量の大部分は魚介類から得られています。
| 食品名 | ビタミンD(μg/100g) | 1食あたりの目安量 | 1食あたりのビタミンD |
|---|---|---|---|
| あんこうの肝 | 110.0 | 50g | 55.0 μg |
| しらす干し(半乾燥) | 61.0 | 10g(大さじ2) | 6.1 μg |
| 紅鮭(生) | 33.0 | 80g(1切れ) | 26.4 μg |
| 紅鮭(焼き) | 38.4 | 70g(1切れ) | 26.9 μg |
| さんま(生) | 16.0 | 100g(1尾) | 16.0 μg |
| うなぎ(蒲焼き) | 19.0 | 100g(1串) | 19.0 μg |
| さば(水煮缶) | 11.0 | 90g(1缶) | 9.9 μg |
| まぐろ(赤身) | 5.0 | 80g(刺身5切れ) | 4.0 μg |
| ぶり(生) | 8.0 | 80g(1切れ) | 6.4 μg |
| かつお(生) | 4.0 | 80g(刺身5切れ) | 3.2 μg |
| あじ(焼き) | 8.9 | 60g(1尾) | 5.3 μg |
| ししゃも(焼き) | 1.2 | 30g(2尾) | 0.4 μg |
ポイント: 鮭は1切れ(約80g)で26μg以上のビタミンDが摂取でき、1日の目安量(8.5μg)の約3倍を供給します。日常的に取り入れやすく、コストパフォーマンスにも優れた食材です。
鮭(さけ・サーモン)
鮭は日本人にとって最も身近なビタミンD供給源の一つです。紅鮭、銀鮭、サーモン(アトランティックサーモン)など種類によってビタミンD含有量に差がありますが、いずれも豊富です。
- 紅鮭(生): 33.0 μg/100g — 最もビタミンDが多い
- 銀鮭(生): 15.0 μg/100g
- サーモン(養殖・生): 10.0〜16.0 μg/100g
焼き鮭、鮭フレーク、鮭おにぎりなど、さまざまな形で日常の食事に取り入れられます。
しらす
しらすは少量でも効率よくビタミンDを摂取できる食材です。ごはんにかけたり、サラダに添えたり、日本の食卓で手軽に使えます。
- しらす干し(半乾燥): 61.0 μg/100g
- 大さじ2杯(約10g)で6.1 μg — 1日の目安量の約72%をカバーできます
さんま
秋の味覚として親しまれるさんまも、ビタミンDが豊富な食材です。
- さんま(生): 16.0 μg/100g
- 1尾(約100g)で16.0 μg — 1日の目安量の約188%
さんまの塩焼きは、秋に積極的に取り入れたい一品です。
きのこ類のビタミンDランキング#
きのこ類は植物性食品の中で唯一、意味のある量のビタミンDを含む食品群です。きのこに含まれるのは主にビタミンD2(エルゴカルシフェロール)ですが、体内でビタミンDとして機能します。
| 食品名 | ビタミンD(μg/100g) | 特徴 |
|---|---|---|
| きくらげ(乾) | 85.4 | 乾燥重量のため実質摂取量は少ない |
| 干し椎茸(乾) | 16.8 | 天日干しでさらに増加 |
| まいたけ(生) | 4.9 | 生きのこの中で最も多い |
| エリンギ(生) | 1.2 | 調理しやすい |
| しめじ(生) | 0.6 | 日常的に使いやすい |
| えのき(生) | 0.9 | 鍋物の定番 |
まいたけ
まいたけは、生の状態で食べられるきのこの中で最もビタミンDが豊富です。100gあたり4.9μgのビタミンDを含み、天ぷらや炒め物、鍋物などさまざまな調理法で楽しめます。
豆知識: まいたけは英語で「maitake mushroom」として海外でも注目されており、β-グルカンによる免疫賦活作用も期待されています。
干し椎茸
干し椎茸は、天日に干すことでビタミンD含有量が大幅に増加する食品です。これは、椎茸に含まれるエルゴステロールが紫外線によってビタミンD2に変換されるためです。
- 干し椎茸(乾): 16.8 μg/100g
- 生椎茸: 0.4 μg/100g
ヒント: 市販の干し椎茸を使用前に30分〜1時間ほど日光に当てると、ビタミンD含有量がさらに増加します。表面を上にして天日に当てるのが効果的です。
卵・乳製品のビタミンDランキング#
| 食品名 | ビタミンD(μg/100g) | 1食あたりの目安 |
|---|---|---|
| 卵黄(生) | 5.9 | 卵1個の卵黄(約17g)= 1.0 μg |
| 全卵(生) | 1.8 | 卵1個(約60g)= 1.1 μg |
| プロセスチーズ | 0.6 | 1切れ(約20g)= 0.1 μg |
| 普通牛乳 | 0.3 | 1杯(200mL)= 0.6 μg |
| ヨーグルト | 0.0 | ごく微量 |
卵は手軽にビタミンDを摂取できる食品ですが、含有量は魚介類に比べると控えめです。毎日の食事に卵を取り入れつつ、魚介類やきのこ類と組み合わせることが効率的です。
ビタミンDを効率的に摂取するコツ#
1. 脂質と一緒に摂取する#
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、油脂と一緒に摂取することで吸収率が向上します。
- 魚を焼く・揚げるなど、油を使った調理法が効果的です
- サラダにきのこを添える場合は、オリーブオイルやドレッシングをかけましょう
- 干し椎茸を炒め物に使う場合は、油で調理することで吸収率が高まります
2. 調理法による含有量の変化を知る#
ビタミンDは比較的熱に強いビタミンですが、調理法によって含有量に多少の変動があります。
- 焼く: ビタミンDはおおむね保持されます。鮭の焼き物は効率的な摂取法です
- 煮る: 煮汁にビタミンDが溶出する場合があるため、煮汁ごと食べる料理(味噌汁、鍋物)がおすすめです
- 干す・天日干し: きのこ類は天日に干すことでビタミンD含有量が大幅に増加します
- 揚げる: 高温の油で調理しても、ビタミンDは比較的安定しています
3. 日本の食卓で実践しやすいメニュー例#
朝食の例
- しらすご飯 + 味噌汁(まいたけ入り)
- しらす10g:6.1 μg + まいたけ30g:1.5 μg = 7.6 μg
- これだけで1日の目安量の約89%を達成
昼食の例
- 鮭弁当(焼き鮭 + 卵焼き)
- 焼き鮭70g:26.9 μg + 卵1個:1.1 μg = 28.0 μg
- 目安量を大きく上回る摂取量
夕食の例
- さんまの塩焼き + 干し椎茸の煮物
- さんま1尾(100g):16.0 μg + 干し椎茸10g:1.7 μg = 17.7 μg
- 十分なビタミンDを確保
4. 缶詰・加工食品も活用する#
忙しい日常でも、缶詰や加工食品を上手に活用することで手軽にビタミンDを摂取できます。
| 加工食品 | ビタミンD含有量 | 活用のヒント |
|---|---|---|
| さば水煮缶(1缶 約190g) | 約20.9 μg | そのまま食べても、サラダやパスタに |
| ツナ缶(1缶 約70g) | 約2.1 μg | サンドイッチ、おにぎりの具材に |
| 鮭フレーク(大さじ1 約10g) | 約3.3 μg | ご飯にかけるだけで手軽 |
| いわし缶(1缶 約100g) | 約10.0 μg | 缶詰のまま夕食の一品に |
ベジタリアン・ビーガンのビタミンD摂取#
動物性食品を摂取しない場合、ビタミンDの確保は特に注意が必要です。
植物性のビタミンD供給源#
- きのこ類: まいたけ、干し椎茸、きくらげが主な供給源です
- 天日干しのきのこ: 紫外線に当てることでビタミンD2が増加します
- ビタミンD強化食品: 一部の豆乳やシリアルにはビタミンDが添加されています
サプリメントの検討#
植物性食品だけでは1日の目安量を満たすことが難しい場合が多いため、ビタミンDサプリメントの利用を検討しましょう。ビーガンの方は、地衣類由来のビタミンD3サプリメントも選択肢にあります。
サプリメントの選び方について詳しくは、ビタミンDサプリメントおすすめガイドをご覧ください。
季節による摂取戦略#
日本は南北に長い国土を持つため、季節と地域によってビタミンDの産生条件が大きく変わります。
夏季(5月〜9月)#
日照時間が長く紫外線B波が十分にあるため、適度な日光浴と通常の食事で十分なビタミンDを確保しやすい時期です。ただし、日焼け止めを全身に塗る場合はビタミンD産生が抑制されることに留意してください。
冬季(10月〜4月)#
特に関東以北では紫外線B波が弱くなり、皮膚でのビタミンD産生が大幅に低下します。この時期は、以下の戦略が重要です。
- 魚介類の摂取頻度を増やす(週3〜4回以上)
- きのこ類を毎日の食事に取り入れる
- 必要に応じてサプリメントを利用する
日光とビタミンD産生の関係について詳しくは、ビタミンDと日光・紫外線の関係をご覧ください。
よくある質問#
ビタミンDが最も多い食品は何ですか?#
日本食品標準成分表に基づくと、100gあたりのビタミンD含有量が最も多い食品は**あんこうの肝(110.0 μg)**です。日常的に入手しやすい食品では、**しらす干し(半乾燥:61.0 μg/100g)や紅鮭(33.0 μg/100g)**が上位に位置します。
ビタミンDを食品だけで十分に摂取できますか?#
魚介類を日常的に食べる日本の食習慣であれば、食品からのビタミンD摂取量を相当確保することが可能です。例えば、鮭の切り身1切れ(約80g)だけで26μg以上のビタミンDが得られ、目安量(8.5μg)を大幅に上回ります。ただし、魚をあまり食べない方や冬季には不足するリスクがあります。
きのこのビタミンDは魚と同じくらい効果がありますか?#
きのこに含まれるビタミンD2と魚に含まれるビタミンD3は、いずれも体内でビタミンDとして機能しますが、研究によるとビタミンD3の方が血中25(OH)D濃度を上昇させる効果が高いとされています(PubMed: 22552031)。きのこ類は補助的な摂取源として有効ですが、主な供給源としては魚介類が優れています。
冷凍した魚のビタミンDは減少しますか?#
冷凍保存によるビタミンDの損失はごくわずかです。冷凍魚でも生魚とほぼ同等のビタミンDを摂取できますので、まとめ買いして冷凍保存することは合理的な方法です。
ビタミンDの効果について詳しく知る#
ビタミンDの健康への効果(骨、免疫、筋肉、メンタルヘルス)については、ビタミンDの効果と1日の摂取量ガイドで包括的に解説しています。
不足のリスクや症状が気になる方は、ビタミンD不足の症状ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ#
日本の食文化には、ビタミンDを豊富に含む食品が多数あります。特に鮭、しらす、さんまなどの魚介類と、まいたけ、干し椎茸などのきのこ類は、日々の食事に取り入れやすい優れたビタミンD供給源です。
ビタミンDの効率的な摂取のポイントは以下のとおりです。
- 魚介類を週3回以上食卓に取り入れる
- きのこ類を日常の副菜や汁物に活用する
- 脂溶性ビタミンのため、油脂と一緒に摂取する
- 冬季は食品からの摂取量を意識的に増やすか、サプリメントを併用する
- 缶詰や加工食品も上手に活用し、継続しやすい方法を見つける
食事だけで十分なビタミンDを確保できているか不安な場合は、血液検査で25(OH)D濃度を確認することをおすすめします。